長い睡眠を必要としている人は、主に3つのタイプに分けられます。
それぞれに原因や対処方法が異なるので、どのタイプの長時間睡眠者かを理解しましょう。
睡眠時間が長い人は、主に次の3つのタイプに分けられます。
・過眠症やナルコレプシーの症状をお持ちの方
・長眠者=ロングスリーパー の方
・休日のみの長時間睡眠をとられる方
今回はロングスリーパーについてお話します。
ロングスリーパーの原因は?
ロングスリーパーとは、体質的に1日10時間程度の睡眠を必要とされる方のことです。
ロングスリーパーは、人口の5%程度の人にあたると言われており、10時間以上の睡眠を必要とする人の割合は、人口の1%未満だと言われています。
原因は次のように考えられています。
・親からの遺伝
・環境や加齢による体質の変化
・中途覚醒が多い
・夢を見ていることが多い
「 親からの遺伝の場合 」
睡眠は、人間の体温や器官などの活動ペースに関わるリズム=概日リズムと深い関係を持っています。
通常の概日リズムであれば7時間程度の睡眠になりますが、ロングスリーパーの方はそれ以上の時間の睡眠を必要とするリズム傾向なのです。
「 環境や加齢による体質の変化が原因の場合 」
生活を取り巻く環境や加齢による体質に変化が影響することによるものと考えられています。
加齢によるホルモンバランスの変化やストレスと言えるでしょう。
「 中途覚醒が多い 」
夜中に目が覚めてしまうことが多かったり、睡眠が遮断されてしまうことで深い睡眠がとれず、長時間の睡眠が必要になってしまう方。
「 夢を見ていることが多い 」
一般的に眠りのレベルが浅く、レム睡眠が多いことから夢を多く見るようです。
深い睡眠をとりにくいため、心身を十分に回復させるのに長時間の睡眠が必要になるのです。
十分な睡眠時間を確保することができなかった日には、睡眠不足となり次のような症状が出る場合があります。
これらの眠りによって、下記のような症状がみられる方もいらっしゃいます。
・日中の異常な眠気
・思考力の低下
・記憶力の低下
・小さなことにイラっとしやすくなる
自分だけでなく、周囲の方にも迷惑が掛かってしまうこともあります。
対策をとりましょう。
ロングスリーパーを改善する方法。
質のいい睡眠が確保できていないために、長時間の睡眠が必要になっている方は多いのです。
質のいい睡眠とは、「 深いノンレム睡眠 」のこと。
ロングスリーパーの方のほとんどは、夢をよく見られ、浅い睡眠が多いことを意味しています。
浅い眠りを減らして、そのぶん深い眠りを増やせれば、長時間の睡眠をとらなくても満足できるようになる可能性があります。
ロングスリーパーだから、と甘えることもできますが、できることから改善することで、時間を有意義に使いましょう。
「 一番浅いのはレム睡眠、一番深いのはノンレム睡眠 」。
レム睡眠は夢を見ているときの睡眠。
身体はゆるんでいますが、脳だけは起きている時と同じように活動しているのです。
それに対して、ノンレム睡眠は「 深い眠り 」。
筋肉の活動は多少残りますが、脳の活動レベルは低下している状態です。
そして、ノンレム睡眠には4段階の深さがあるのです。
ステージ3とステージ4のノンレム睡眠は、すぐには目覚めることができないほどの深い眠り。
物音がしても名前を呼ばれても、そう簡単には目覚めることがありません。
実は、質のいい睡眠というのは、このステージ3、ステージ4のノンレム睡眠のことを指します。
なぜ「 深いノンレム睡眠 」が質のいい睡眠なのかというと、この睡眠の間に脳がしっかりと休むことができるのです。
睡眠の役割は、脳の休息。
人間の3大欲求で一番支配力が強いのが「 睡眠 」です。
ノンレム睡眠が哺乳類にとって欠かせないのです。
シカゴ大学で行われた実験によると、強制的にノンレム睡眠を遮断されたハツカネズミは、3週間後にはすべて死んでしまった、とのこと。
脳の疲れが慢性的になると「 しっかり寝たはずなのに疲れがとれない 」とか「 日中の眠気がひどい 」という症状、よく聞かれると思います。
それなりに睡眠時間をとっているのにこのような症状がある場合は、深いノンレム睡眠が充分にとれていない可能性が考えられるのです。
現代型の生活スタイルには、睡眠の質を悪くする要因がたくさんあり、入眠前に行っている憶えはないでしょうか。
・夜分遅くコンビニに行く。
・カフェイン飲料の飲みすぎ。
・寝酒。
・夜遅くの食事。
・激しい運動。
・熱すぎるお風呂。
・寝る前の考え事。
これらの要因を改善していくだけでも、睡眠の質を上げることにつながるのです。
私自身、夜遅くまで食事をしてしまった次の日は、消化に睡眠を奪われてしまって、まったく疲れが取れていない、ということが多く思います。
おススメの睡眠の質をあげる方法
・入浴してリラックスをする。
・カフェインの摂取を減らす。
・眠る3時間前に食事を終わらせる。
・寝る前に携帯をいじるのをやめる。
・ぐっすり眠れるような成分を食事から摂取する。
・ストレスをためないようにする。
ロングスリーパーを治したい場合におすすめのサプリはある?
おススメのサプリ3種類。
下記のような症状の方
・熟睡できている感じがしない
・日中に眠気を感じる
・夜中に目が覚めやすい
におススメなのが、「 グリシン 」。
睡眠にかかわる成分として有名です。
「 グリシン 」は眠りを深くして睡眠の質を上げる作用があるので、熟睡感が得られない、熟眠障害の方や夜中に何度も目が覚めてしまう中途覚醒の方におススメです。
睡眠を深くする効果は、日本の食品メーカー味の素の研究でも実証されていて、寝る前3,000mgのグリシンを摂ると効果があるとされています。
グリシンはアミノ酸の一種。
鶏肉や豚肉などの肉類やえびやホタテなどの魚介類、アーモンドなどの豆類に多く含まれています。
ということは、バランスのよい食事を心がけていれば一日に3,000mgから5,000mgのグリシンを摂取できるのです。
しかし、グリシンは「 就寝前に摂ってこそ意味がある 」のです。
いくら肉類などの食品にグリシンが多く含まれているからと言って、就寝前に大量に食べることは消化に睡眠をつかわれてしまって、身体増して脳が休むことができなくなってしまいます。
となると、サプリメントで補給するというのもおススメ。
熟睡したいなら『 グリナ 』。
安眠サプリとして日本で売られている商品の多くは、グリシンがメインの成分。
もしくは、NOW社の『 グリシン100%ピュアパウダー 』。
海外のものですが、
しかし、目安となる量は就寝前に3,000mg。
サプリを選ぶときには成分の含有量をしっかり確認しましょう。
また、グリシンサプリ全般に言えることですが、3,000mgで効果が出る方とそうでない方がいらっしゃいます。
とくに熟眠障害や中途覚醒の症状が重い場合は、おそらく思ったほどの効果が出ない場合もあるのです。
不眠の症状が重い場合は、3,000mgよりも多く摂ることで効果が出てくることがあります。
グリシンには副作用はありませんので、少々多めに摂っても問題ありません。
ただ、極端に摂りすぎるのは避けましょう。
また、甲殻アレルギーの方も残念ですが、摂取不可能です。
次のような症状の方
・とにかく朝起きるのがつらい
・身体がだるくて何もする気にならない
に必要なのが、必須アミノ酸のひとつ「 トリプトファン 」。
主に食品のタンパク質に含まれており、体内に入って脳に運ばれます。
脳に運ばれると、朝の目覚めをサポートする物質「 セロトニン 」に変化。
そして、セロトニンは夜になると睡眠ホルモン「 メラトニン 」に変わり、入眠をうながしてくれるのです。
セロトニンとメラトニンは快適な眠りを得るために必要なホルモン。
その原料となるトリプトファンを摂ることは非常に大切と言えます。
トリプトファンの効果は、乳幼児600名近くを対象にした調査でも明らか。
朝食に含まれているトリプトファンの量と、寝つき・寝起きの関係を調べたところ、朝にトリプトファンを300~400mg摂っている乳幼児は、寝付きも寝起きも良くなるという結果が得られているのです。
トリプトファン1日の摂取量は、成人の場合体重1kgにつき2mgが目安とされており、体重60kgであれば120mgが1日の必要摂取量ということになり、これは普通の食生活をしている場合は問題なく摂取できます。
しかし、トリプトファンに効果を求めるなら、100mg程度では足りません。
不眠対策として有効なのは500~600mgと言われています。
できれば、毎日摂取するのが望ましいのです。
ちなみに、うつ病対策には1000~1500mgのトリプトファンを摂ることが有効。
ですが、過剰摂取は健康上好ましくありません。
1日あたり6,000mg以上のトリプトファンを継続的に摂取すると、ノルアドレナリンの分泌を抑制してしまう可能性があるのです。
それは、脳を覚醒させ、集中力を高めてしまうことになるのです。
ノルアドレナリンが不足すると、うつ病を引き起こす原因のひとつと言われています。
とはいえ、一日に6,000mgもの量を継続的に取らないように気を付ける程度で大丈夫です。
睡眠の質を改善するグリシンサプリを飲んでも、朝起きれないことも。
しかし、トリプトファンのサプリを摂り始めてから、大体1カ月くらいで朝の目覚めがスッキリするできる方も多いようです。
トリプトファンは、効果を実感するまでにある程度の期間が必要。
少なくとも1カ月くらいは継続して摂取しましょう。
ちなみにグリシンなどの安眠サプリと同じく、トリプトファンもアメリカのメーカーのものがリーズナブルでおススメ。
NOW社『 トリプトファンサプリ 』
重たい頭と身体をなんとか起きあがらせて、ダルさを引きずりながら出勤する、というのはかなりの苦痛。
目覚めの良い朝を手に入れましょう。
入眠できない方には、眠りを誘うホルモン「 メラトニン 」
「 睡眠ホルモン 」と呼ばれ、人間を自然な眠りへと導くのがメラトニンです。
メラトニンが分泌されると人は眠くなります。
メラトニンが分泌されると末梢血管が広がり、体内の熱が外に放出されます。
その結果、体温が下がって眠くなってしまうのです。
ほかにも、メラトニンには呼吸や血圧を安定にしたり、副交感神経を優位にする働きがあります。
それによって、私たちの身体はさらに眠りに適した状態になります。
メラトニンには、「 明るさが大敵 」です。
メラトニンの分泌は夜9時ころから増え、夜11時ころには眠気を感じるレベルに達します。
しかし、メラトニンは強い光の下では分泌されにくいという特徴があり、そのため、夜遅くにコンビニやスーパーなどに行くとメラトニンの分泌に悪影響が出てしまうのです。
コンビニ店内の明るさは1000~1500ルクス、スーパーは2500~3000ルクスです。住宅のリビングは300~500ルクスですから、コンビニやスーパーは非常に明るいのです。
就寝前には、強い照明のある場所にはできるだけ行かないようにしましょう。
メラトニンは「 体内時計を調整 」してくれます。
メラトニンの分泌は体内時計によってコントロールされていますが、逆にメラトニンが体内時計を調整するということでもあるのです。
例えば、深夜勤務や交代勤務などの環境で働いている方は体内時計が乱れがち。
その場合はメラトニンのサプリで体内時計を調整すると、眠りたいタイミングで眠れるようになるのです。
また、メラトニンは「 年齢とともに分泌量が減 」ってしまいます。
30代になると、20代のころの半分程度、40代であれば、30代のときのさらに半分になります。
年齢とともに寝つけなくなったり眠りが浅くなったりした場合は、メラトニン不足が原因のひとつと言えるほどです。
メラトニンを「 食事から接種することは難しい」ということ。
メラトニンを含む食べ物はバナナやくるみ、とうもろこしなど。
ほかにも、ケールという野菜にメラトニンが含まれていますが、含有量が少ないのです。
とうもろこしを100g食べたとしても、それで摂れるメラトニンの量はたった0.0001mg。
ケールだと、もう少し多く100gあたり0.004mgくらいしかメラトニンが含まれていないのです。
まず、体内にあるメラトニンの量は0.3mgくらい。
これに比べたら食品から直接摂れるメラトニンの量がいかに少ないか分かります。
上記の理由が当てはまる方には、効果大です。
ですが、精神的ストレスが原因で寝つけない場合には、メラトニンは役に立たないかもしれません。
メラトニンがストレスを解消してくれる訳ではなく、ストレス起因で寝つけないのであれば、やはりストレス緩和対策も合わせましょう。
入眠の際、必要なメラトニンの量は、大きな個人差がありますが、標準的な摂取量は1mg~10mgと、かなりの幅があります。
初めて使う場合は1mg~3mgくらいを試しましょう。
体質にもよりますが、メラトニンを摂取しすぎて、朝起きられなくなるのも意味がないので。
少量のメラトニンを試した後、寝つきやすさと翌朝の起きやすさを考慮して、摂取量を調節しましょう。
NOW社の『 メラトニン 』おススメします。
サプリメント大国のアメリカです。
Natrol社の『 メラトニン 』もありますが、値段と手に入れやすさを考えるとNOW社がよろしいようです。
まとめ
ロングスリーパーの症状と似ている病気として、
「 熟眠障害 」
「 特発性過眠症 」
「 冬季うつ 」があります。
「 熟眠障害 」
熟眠障害は不眠症のひとつ。
「しっかり睡眠時間を確保したのに疲れがとれない」という特徴があります。
この特徴はロングスリーパーにも当てはまります。
熟眠障害とロングスリーパーを間違えないように気をつけましょう。
ロングスリーパーが先天的なものであるのに対して、熟眠障害は後天的な要因といわれています。
そのため、熟眠障害の原因となっているものを取りのぞいてしまえば、長かった睡眠時間も自然と短くなります。
「 特発性過眠症 」
過眠症のひとつでもある「 特発性過眠症 」はロングスリーパーと非常によく似ています。
睡眠の専門医でもこの2つを判別するのは難しそうです。
特発性過眠症では、夜間の睡眠時間が10時間以上になることも多々あり、ロングスリーパーと重複する特徴です。
しかし、異なる点は、日中の眠気。
「 日中に強い眠気を感じ、1~4時間長い時間寝てしまう 」というのが特発性過眠症に見られる最大の特徴なのです。
しかも、たとえ1時間以上の昼寝をしたとしても頭がスッキリしない、眠気も消えないことが多いようです。
ロングスリーパーの場合は、夜間の睡眠時間を確保すれば、そこまで強烈な眠気が日中にやってくることはありません。
また、過眠症のひとつに「 反復性過眠症 」というものもあります。
1日あたり20時間近くの睡眠が必要になります。
3~10日間にわたって長時間睡眠が続いたあと、普通の睡眠時間に戻る、という一定の周期もあります。
「 冬季うつ病 」
長時間の睡眠が冬に集中的に現れるのなら、冬季うつ病にかかっている可能性が高いようです。
冬季うつ病は、その名のとおり秋~冬にかけて現るうつ症状です。
もともと、冬は睡眠時間が長くなりやすい季節です。
ですが、冬季うつ病になっているときは他の季節と比べて2時間以上も睡眠が多くなる方が多いようです。
睡眠時間が長くなること以外に、わけもなく気分が落ち込んだり、何に対してもやる気が出ない、
といった症状もあるようなら、冬季うつ病の可能性も視野に入れましょう。
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